2014年、東京都内でも発見された毒性の強い外来種のクモ「セアカゴケグモ」は世間を騒がせたが、基本的に日本国内ではいわゆる“毒グモ”はきわめて少なく、クモに咬まれて実際に健康を損ねたり死亡したりする例は稀である。しかし世界は広い! この世にはにわかに信じ難いクモとクモにまつわる現象が存在しているのだ。

■鳥もネズミも食べる世界最大のクモとは?↓↓↓↓↓↓














くも
 


毛むくじゃらの愛らしい小型犬かと思えば大間違い!
 世界最大のクモ「ゴライアスバードイーター」の怪異な容貌に改めて注目が集まっている。ゴライアスバードイーター(Goliath birdeater)は南米のベネズエラやブラジル、ガイアナなどに生息する全長30cmにもなる世界最大のクモで、その名の通り小鳥はもちろん、ネズミなどの小型の哺乳類も捕食するという獰猛なクモである。

 ハーバード大学の昆虫学者、ピオトル・ナスクレッキ氏が南米・ガイアナの熱帯雨林で予期せずゴライアスバードイーターに遭遇したときのスリリングな思い出話が昨年末、科学情報サイト「Live Science」に掲載されて話題を呼んだ。夜のジャングルという出来過ぎな環境(!?)で出くわしたこのゴライアスバードイーターに驚いたナスクレッキ氏だったが、見た目の怪異さはもちろん、足の先端に鋭い鉤爪を持ち、歩き回るたびに蹄鉄を着けた馬のような音を響かせる様子に背筋が凍りついたという。確かにこの姿を実際に目の当たりにすれば我々哺乳類から見てとても遠い存在というか、分かり合えないような不気味さを感じてしまいそうだ。

 ゴライアスバードイーターは毒グモではあるが、毒は人間にとってはそれほどの効力を持たないという。しかし鋭いキバで咬まれると出血を伴う傷を負うということだ。名前の通り鳥を捕食することもあるが、決して好んで小鳥などを主食にしているわけではなく、他の昆虫やミミズ類、トカゲやカエルなどを主に捕食しているといわれている。飼育された環境では与えられたネズミも好んで食べるということだ。とにかく、暗闇の中では決して出会いたくないクモである。

■魚を捕食するクモの生態が判明

 鳥やネズミを食べるクモばかりではない、なんとこの地球上のいたるところに魚を食べるクモも存在しているという。とはいっても新種のクモが新たに発見されたという話ではなく、半水棲のキシダグモ科のハシリグモなどの一部のクモは、魚を捕食することもあることが確認されたのだ。

「魚釣りグモ(fishing spiders)」と総称されるこれらのクモはなんと、南極大陸を除く世界中の淡水の水辺に生息しているという。特に多いのはアメリカ・フロリダ州の湿地帯のような温暖な場所であるという。スイス、バーゼル大学のマーチン・ニッフェラー氏とオーストラリア、西オーストラリア大学のブラッドレー・ピュージー氏による研究論文に添付された地図を見る限り、日本にも少なからず分布しているようだ。

 この“魚釣りクモ”たちもはじめから魚を狙っているわけではなく、主に水辺の昆虫を捕食しているが、近くに小魚がいた場合などは好機とばかりに捕食行動に出るということだ。昆虫に比べて格段に栄養価の高い小魚は魚釣りクモたちにとって願ってもないごちそうで、狙うサイズも大きく平均して自分の身体の2倍ものサイズの小魚を仕留めているということだ。まさにマグロの沖釣り漁師顔負けのクモが世界中に生息していたのだ。

■クモの巣に覆われた町

 クモにまつわる最新情報は、オーストラリア南部にある町がクモの巣に覆い尽くされたというニュースだ。先月の初旬にオーストラリア・サウスウェールズ州にあるゴールバーンの町はなんとクモの巣にすっぽり覆われてしまったというから驚きだ。その日、町の上空からは無数の小さな黒いクモが網のように張りめぐらせた糸とともにフワフワ漂いながら降ってきたのだ。そしてこの小さな田舎町は降り積もった白いクモの糸であたり一面が銀世界(!?)へと変貌を遂げてしまった。

 前代未聞の現象に町の住人も当惑するばかりであったというが、専門家によればこれは「バルーニング(ballooning)」と呼ばれるクモの持つ長距離移動手段だということだ。バルーニングは、多くのクモにみられる行動で、風のある晴天の日などに高い場所にやってきたクモが尻から出した糸とともに風に乗って遠くへと移動するテクニックである。孵化して間もない頃のクモが主に行なうが、サイズの小さい種類のクモは成虫になってからもこのバルーニングを行なうという。

 地元でクモの観察を続けている専門家によれば、今回の現象が起きる数日前からオーストラリアではバルーニングに最適な気象条件が続いており、内陸部で生まれた幼いクモがこの好機を逃すまいと一斉に“風に乗った”のではないかと説明している。そして風の流れの影響でたまたまたこのゴールバーンの町に集中して飛来してきたのだということだ。それにしても小さな町に大挙して“移住”してきたこの光景には驚かされるばかりで、町はまるでクモに乗っ取られてしまったかのようである。しかし町の住民の生活には特筆すべきような実害はなかったということだ。もちろん“祭りの後”の後片付けはそれなりに大変だったとは思うが……。

■ブラジルでも記録されていた大規模バルーニング

 大規模バルーニングは2013年にも記録されていた。同年2月、ブラジル・サンパウロの西にあるサントアントニオの街に、おびただしい数のクモが飛来し、電線などに広範囲に巣を張って街を覆いつくしたのである。この模様を地元のウェブデザイナーの若者がビデオで撮影し、YouTubeなどに投稿したところ大きな話題となった。

 街を“侵略”したこのクモはムレアシブトヒメグモ(Anelosimus eximius)であると考えられ、このクモはアリやハチのような組織的な群れを形成する“社会的クモ”であるということだ。ちなみに4万種類もあるといわれるクモにあって、この“社会的クモ”は23種類しか確認されていないという。1つの“社会”は5万匹以上の個体で構成されており、オス1に対してメスが10と、圧倒的にメスが多いということだ。

 専門家によれば、最初からネットごとこの多数のクモが風に吹かれてやってきたと考えられ、移動を目的とした単純なバルーニングというよりも、組織的に獲物を漁る行動なのではないかと考えられえている。つまりネットごと移動して“漁場”を変えたのだ。ブラジル・パラナ連邦大学の生物学者によれば、この現象は特に珍しいものではなく、このクモの正常な行動生態であるという。今までほとんど記録されてこなかったため知る機会が乏しかったということになりそうだ。

 こうしたニュースがきっかけになって改めて知ることになるクモの驚くべき生態だが、日本にいても出くわさないとは限らない。万が一遭遇した際に慌てないためにも知っておいて損はないだろう。

文/仲田しんじ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150610-00010003-dime-sci  

 <コメント>
>>毛むくじゃらの愛らしい小型犬かと思えば大間違い!
どう見間違えてもそう見えることはない

30cmの大きさの蜘蛛??
想像しただけでも鳥肌が立つ。昆虫館なんかではちょっと見てみたい気はするけど、野生では絶対会いたくないですね。

テラフォーマーにどれくらい通用するかな?